イギリス滞在最終日に初めて人に悪態をついた話

"Pathetic" 

「パセェティック」

日本語では「ひどい」「役に立たない」

「弱い」「哀れな」という意味が出てくる


私は、この言葉が嫌いだ


何故なら、20歳のときイギリス滞在最終日、

日本に帰るため空港に向かう途中、

ロンドンのどこかの駅の駅員に

この言葉を投げ捨てられたからだ


そして、イギリス滞在最終日、

それまで一度も発したことが無かった

むしろ簡単に発する人を見て軽蔑していたのに

Fワードをまさかの見ず知らずの駅員に私は発した


私は、ヒュースロー空港とその駅との間の

エクスプレス列車のEチケットを事前に買っていた


Eチケットの発売器は、その駅の中の、

エクスプレス列車のホームにあった


なので普通の駅の改札は、切符を買わずに、

改札のところにいた駅員さんに事情を説明して、

通してもらった


そこまでは順調、というか普通だった


問題はエクスプレス列車のホームの入り口にいた

2人目の駅員だった


「その駅の切符が無いと中に入れない」と言う


一人目の駅員さんに話したことをもう一度話して、

そして一人目の駅員さんに許可を貰い、

入れてもらったことを伝えた


しかし、何が何でも

「切符が無いと中に入れない」と言う


しかも、「一人目の駅員に入れてもらったなんて嘘だ」と

「そんなことはありえない」

「君は勝手にここまで入って来たのだ」と言う


この時点では、私はただ面倒なやつだ、くらいに思い、

「では、一人目の駅員さんのところに戻って確認するから、

信じられないのなら一緒に来て下さい」と言った


すると、「何で俺がそんなことをしなければならないんだ」と言う


もう面倒になって「じゃあいくら払えば通してくれるのか」と聞いた


すると「そんな問題じゃない」と言う


私は、その時点でこの人何がしたいねん、

と思い、かなりイラついていた


そんな私に、彼は"You're pathetic."と言い放った


"pathetic"は最初に書いた通り、日本語では、

「ひどい」「役に立たない」「哀れ」「惨め」等の意味


私もイラついていて、その駅員とのやりとりの声の

ボリュームがかなり大きかったのであろう


他の新しい駅員さんがやってきて、

その人にスーパー憎き意味不明な駅員はさとされていた


そして新しい優しい3人目の駅員さんに

「こいつは、こういうところがあるんだ。

すいません。」的なことを言われ、

通してもらった


でも、2人目のスーパー憎き意味不明な

怪獣駅員はその間もずっと私に向かって

"pathetic""pathetic""pathetic"と言い続けていた


その時にイギリス滞在で初めて、

というか産まれて初めて、

周りの人がどんなに使っていても使わなかった

"Fワード"をその駅員の目をまっすぐに見つめ、

発し、その場を去った


"F○○k yourself!"


憎き駅員のように目を背けて

何回も発するのでは無く

目の奥をがっつり見て

まっすぐ奥に届くように

一回に重く怒りの想いを込めて発した


そんな言葉、自分が使うと思わなかった

使う必要も無いと思っていた

むしろ周りの人が簡単に発していたときは

軽蔑していた


そんな言葉発したくなかったし、

発するとしてももっとましなことを言いたかった

でもとっさに出て来たのはそれだった


最終日にこんなに下らないことで

見ず知らずの人に悪態をついた


その時は、もう何で最終日に最悪、と

思っていたけど、今思うと、

きっとイギリス滞在終了の儀式だったのかもしれない


日本に居るとそんなに怒らなければいけない場面は無かった


優しくしてもらえたし、

あからさまに失礼な人も滅多に居なかった


ちょっと、え?と思っても、

笑ってごまかしてしまっていた


すぐに怒るなどの反応は持ち合わせていなかったし、

慣れていなかった、

どちらかというと戸惑い、引っ込めていた、

自分の気持ちをごまかしていたか、

自分をなだめる、説得する、いい子をしていた

そして何事も無かったように済ましていた


だからきっと、自分にとって理不尽なことをされて、

きちんと怒りを表す、態度に出す、

ということを自然に出来るようになった、


実際海外に居るとちゃんと怒らなければならない場面、

というのは時にあって、

そのフィナーレであった、


と解釈した(笑)



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